2022/02/16

ロウソクの明かり


 部屋を明るくしてくれる照明器具。料理をつくったり、食事をしたり、本を読んだりと明るくしたいときに欠かせないけど、昔は照明器具がなくてロウソクで過ごしていたとは、ちょっと信じられないですよね。


 でもロウソクの記憶は残ることが多く、その代表はなんといっても誕生日のケーキ。主役の顔がロウソクのあかりでぼんやり揺れて見え、火を吹き消すとパッと暗くなってみんなで祝福するのは映像でもよく見る演出です。


 部屋の照明は真ん中にひとつ、天井についてる丸い照明器具を想像するのは賃貸アパートの記憶があるのと、子供のころに住んでいた家も部屋の真ん中についていたからだと思う。


 ”照明”を調べてみると、

 ①光で照らして、明るくすること。「夜間―」

 とあるから照明器具と呼ぶのももっともだと思うのですが、僕が小さなころは電灯と呼んでいました。


 ついでに”電灯”を調べると

電力を利用した灯火。特に白熱電球によるものを指す。電気灯。


 なるほど、蛍光灯からLEDに変わった現代では照明と呼ぶのがもっともみたいです。


 電気工事費を抑えるためにも簡単な配線をすすめますが、リビングやダイニング、それに玄関廻りなど家のデザインを作り込みたいところは、明かりの配置とその種類にも工夫するようにしています。


 「いえにわさんの照明の使い方好き」

 「器具は横関さんが選んでいるのですか?」

 見学会で尋ねられるとほめてくれているようで嬉しくなる。


 僕は壁につけるものや、天井から吊り下げられる形が部屋に違った表情を与えてくれると思っているからよく提案する。難しいのはその高さと配置。低すぎると頭をぶつけてしまうしまぶしい。高すぎるとなぜか貧相に見えるから不思議です。


 白熱電球の頼りないあかりも部屋の表情に一役買うので、LEDでも白熱電球のような明かりを演出する電球があるのでそれを使うようにしている。


 完成間近の新築工事。いよいよ照明器具の取り付けが完了してスイッチをいれてみるとパぁっと明るくなって、ワぁって声が出る。”パぁ”とか”ワぁ”とでしか表現できない語力に肩を落とすけど、ロウソクの明かりみたいに気持ちの高ぶりが伝わればいいな。
























部屋を彩るランプはロウソクと同じ電球色。


2022/02/12

まど

 

 今は冬だから、葉っぱが落ちて枝だけになっている植物の姿は寒い季節をより寒く感じさせる。でも遮るものがなくなっているから太陽の陽ざしが部屋の奥までとどいて明るくて暖かくて気持ちいい。


 僕が設計した家を見学に来た人は「窓が大きくて、気持ちいいですね」と言ってくれて嬉しくなる。完成したお客さんの家をほめてくれると天にも昇る気持ちになって、共感してくれる人がいるんだと安心します。


 「そうなんですよ、窓はね、」なんてついつい得意げに説明している自分に気づいて恥ずかしい。でもそれだけ窓が好きで間取り図を描いているときも「ここから見える景色は、」とか「夜は月が見えるといいな」と考え、なにより住む人が喜んでくれたらいいなと思っています。


 僕は徳島市内の交通量が多い道路際に住んでいるけどつけているカーテンは1か所だけ。部屋から洗濯物が見えないようにしているのと、その先にあるアパートの視線を逃がすためにつけました。外から室内は見えると思うけど視線があうこともないし、必要に感じていないからつけていない。だから窓を遮るものがないので部屋がとても広く感じる。


 平面計画するときは、お隣さんの窓位置がどこにあるかを確認して窓の高さと位置を決めるようにしている。視線があうとお互い気まずいので、そんな場所に窓はつけなし、どうしてもつけたいときは高さを高くしたり低くしたりすると視線が逃がすことができる。


 窓がもっと部屋のインテリアをきめる大切な要素として活躍してくれるといいな。そう考えていると、「こないだの見学会で見せてもらった窓の配置をうちの家にも取り入れてほしい」とお客様から声をかけられたのは嬉しかった。
























 向こうにみえるのは、紅葉の期間が長いモミジの園芸品種。手を洗うときに、なんとなく目を向けた先に植物がいてくれたらいいなと思って配置してみた。


2022/02/10

昇降狭小


  小学生のころ友達の家に遊びに行くのがとても好きでワクワクした記憶が鮮明に残っています。その中でも誕生会は僕だけでなく集まるみんなが楽しんでいたように思うけど、僕は部屋を見るのがとても好きだったんですね。使っている机やそこにある文房具、ベッドと寝具の柄など、ここだけ聞くと少々変わった小学生で困りものですが、部屋は使っている人の個性が詰まっているのでとても魅力的にうつりましたね。


 家具の配置なんかもまじまじと見ていました。窓の近くに机があるのかベッドはどちらに向いているか、なにより楽しかったのは窓から見える周囲の風景。二階建ての家なら子供部屋はほぼ2階にあったのでなにが見えるか楽しみにしていました。僕はこのころから窓が好きだったようです。


 家具で好きだったのはなんといっても2段ベッド。部屋の広さは変わらないのに、2段ベッドにあがるとさっきまで見ていた机や窓が小さく見えて部屋の雰囲気が全く違い驚いた記憶もこれまた鮮明に残っています。


 ハシゴをつかって登ったベッドは天井がちかづいて狭いけど自分だけの空間のようにも思えたのを子供心によく覚えているから、このころの感覚って大切なんだなと思いますね。


 子供部屋は登ったり下りたり、狭いスペースも作ったりしてみても楽しいと思いますよと提案してできたキッズスペース。これは楽しい!

気にってくれたらいいな。
























ロフトへあがる階段から寝室を撮影。

壁に貼っている写真はマグネットで止めている。


2022/02/07

家の中で最大の道具と言えば。


  間取りも決まっていよいよこまかな作り込みの設計になったときに一番時間がかかるのは。。

そうキッチンスペース。


 最近は、ご夫婦ともにキッチンIに立つことが増えたので確認する項目も増えた。そもそも男性と女性では体の大きさが違うからキッチンの使いやすい高さや大きさが違う。高いところも女性では届かないけど、男性なら届く、といった具合に身体にあわせて高さと広さを決めるのに打合せは綿密にすすめる。


 キッチンの一般的な大きさ設計の基本寸法があって、高さは85センチ、奥行きは65センチ。個体差があるし好みもちがうのでできるだけ実物を体験してもらうのが一番と思っている。というかそうすべき。


 キッチンの次は電子レンジや炊飯器などの家電収納や日常使う食器などを収納するカップボード。収納力を上げるため引き出しタイプを選択する場合、キッチンとカップボードの間の広さは十分に検討したいところ。最小75センチ、標準85センチ。2人で使うなら95センチ。105センチをこえると広すぎて使いにくい。カップボードの奥行きは45センチが多い。電子レンジの奥行きが45センチ前後が多いこともあるが、冷蔵庫との奥行きが合わないのでカップボードの奥行は60センチのタイプをすすめてる。最近は奥行63センチの浅型の冷蔵庫も販売瀬れていて食器棚の奥行きがそろうのでスッキリ見せることができる。


 対面キッチンにする場合はダイニングスペースとの間にカウンターができるので、こちらの高さ広さも重要。


 食材や食器の仮置きで使う場合I奥行きがあると届かないし、高さがあるとこれまた届きにくい。高さを下げるとシンクで作業する手元が見えるので、シンク周辺は片づけとかないとゴチャゴチャした雰囲気がダイニングまで伝わってしまいます。


 キッチンは包丁使うなど細かい作業が多いので明るさも確保したいところ。自然光の明るさはもちろん、照明器具で明るさを調整できるようにもしておきたいですね。


 仕上げはタイルや木板を使って表情をつくる。


























家で住む方みんなが食事の支度のために使うキッチンは、使いやすい道具として活躍してもらいたい。



2022/02/05

タタミ! イグサ! ワタカベ!!



 僕は若いころ、リフォームの仕事を中心にしていた.


 お客様の家を訪ね困っている点を聞いてみると,

「和室を洋室に変えてほしい」

がとても多く理由を聞いてみると、


・畳にカビが生える。

・干すのが大変

・ダニが気になる



 冬の室内湿度は40%前後だけど、梅雨になると90%を超える日が多くなる。すると畳の表面に湿気がたまってカビが発生する原因となり、しばらく使っていない和室に入ってみると白いカビでビックリ! なんてこともあったので洋室への変更するのもよくわかる。


 でもこの畳のデメリットを払拭した素材が開発され販売されています。それは、「和紙畳」と呼ばれる商品。従来、畳表にはイグサが使われていたけどこれを和紙に変えたのです。主原料が紙を使っているので簡単に着色でき選べる色も沢山、ピンク色の畳もあります。


 洋室が増えた家で、リビングの王様といえばソファー。でも、うっかりしていると上着をかけたり、背もたれにしてしまったり、なにより結構大きいので部屋を狭く見せることもあるし、重いから掃除のとき移動も大変。。


 これから家づくりを考えているお客様との打合せで「横になれるスペースも欲しいな」と希望する方には、こんな畳もありますよとすすめています。


 畳と相性のいいのは左官壁。しっくいや珪藻土などが思い浮かびますが、今回お施主様の希望されたのは繊維壁。以前はワタカベ(渡壁)と呼ばれていたものですが、劣化するとボロボロ落ちてこれまた掃除が大変で嫌われモノに。しかし、近年の材料は壁面への接着もよいので、年数がたっても安定しています。


畳の上に横になって窓から見える外の景色を楽しむのも住宅計画に取り入れてもいいかもしれないですね。








ここは畳表にイグサを使ったので香りも楽しめます^^

2022/02/03

ランドリースペース機能付き洗面脱衣場



 賃貸住宅では、脱衣場所に洗濯機と洗面化粧台を配置しているケースがほとんどで汚れるんですよね洗濯機廻り。


 とくに洗濯パンは隙間を作るからホコリがたまるし、洗濯機は重くて簡単に移動もできないので掃除も後回しになってします。厄介者の洗濯パンは洗濯機に接続している給水ホースや排水ホースからの水漏れが下階に漏れないように設置されていたものです。アパートやマンションなどの共同住宅では上から水漏れすると慌てますよね。近年はホースが外れると自動で止まる水栓金具や排水の取り付けバンドもよくなっているから洗濯パンを設置しないことも増えてきました。で、洗濯パンがなくなると洗濯機キャスターという優れモノを洗濯機に取り付けて簡単に移動できるようにるので掃除がとてもしやすくなります。


 洗濯物を干す場所も、突然の雨に濡れないように室内に干せる空間であるランドリースペースを求める方も多く、花粉症で悩まされる方はぜひとも間取り計画に盛り込みたいスペースとなりました。


 でも、部屋数を増やすと家が広くなって金額も増えてしまうので違う機能をもつそれぞれの空間、例えば脱衣場所と物干し場などを一つにしたりして乱暴に部屋が増えるのを防ぐ計画をします。脱衣場はお風呂に入るときに使うだけだから、その他の時間は使われない部屋となるので物干し場と相性がいいのです。換気扇や窓の配置も計画に盛り込んで必要であれば空調機も。今回は施主様の希望もあり洗濯物が速く乾くガス乾燥機を取り付けました。




これも共働きを支えてくれる大事なパートナーですね、頼もしい。





2022/02/02

造作カウンターがあるキッチン


  対面キッチンが住宅に取り入れられてから30年になるかな。昭和の終わるちょっと前に景気の良かった時期があったけどそのころに登場、とても高級なキッチンが出回ったのもこの時期。


 現在は共働き家庭が多く家事の軽減が求められ機能面と使い勝手で優れているキッチンが多い。その代表的なのが食器洗い乾燥機で最近はつけないほうが少ないぐらい。タイマー機能も充実していて夜間の安い電気代を利用して運転できるから節約にもつながって人気の商品。


 これに加え最近は”自分好み”を加えるようにもなった。インターネットでキッチンの写真を探すととても様々なキッチンスペースが出てくる。


 僕は建築中に作る造作家具が好きで、住む方の好みにあわせて設計図に加えるようにしている。仕上げに使う素材、色、大きさ、その場所にあわせて作れるのはとても楽しいし、好きな食器や子供の絵本、お店で一目ぼれした雑貨も飾ると部屋の雰囲気はとてもかわる。


 完成後引っ越しして一息ついたときに撮影会でお伺いしてみると、引き渡し直後とはすっかり変わり、ご家庭のいろがよく伝わる空間Iなっていて驚くことが多いので訪問するのはとても好き。




 ここもきっとお客さまの好みあふれるキッチンとダイニングスペースになるんだろうな。早く見てみたい。



2022/02/01

「明るくて暖かくて風通しの良い家」


 部屋の明るさは窓の大きさも必要だけど、取り付ける高さも大切。同じ大きさの窓でも30センチ高さが違うだけで部屋の明るさが随分変わることをできるだけ丁寧に伝えたいので、工事中に窓の高さや位置を説明するようにしている。設計図を描いている立場なら窓の大きさと高さは認識できてるが、お客様と共有できているかをいつも大切にしている。


 窓の高さに気を付けると、お隣さんと窓越しに目が合ってしまうこともなくなるからカーテンを開けることが増えると思う。カーテンあけると空が見えるし、夜は星も見える。朝日が差し込む東の窓も、夕日が部屋を照らす西の窓も好みの部屋作りができる。

「西日なんて暑いだけだから」

と思っている人にはいいお知らせ。近年はガラスの性能がとても向上しているので、西日は差しているけど暑さを感じにくいガラスもあるから驚きです。

 西日を嫌うのは僕らの世代ともう少し上の世代が呪文のように言い続けたのと、小さなころに使っていた自分の部屋が西日がよく差してとにかく暑いイメージが強く残っている人も西日は嫌う。嫌われ者の西日だけど夕暮れに見とれてしまうのは不思議です。


 徳島は敷地の起伏がないので平坦な土地に行儀よく並べる家が多いから、なおさら隣との視線がぶつかりやすくなってしまう。もっと敷地の特性をうまく使えば魅力的な建物になると思っているから、建物の外観をよく見せる庭も一緒に提案するようにしている。


 庭に植える植物が近隣の家との視線をにがしてくれたり、夏は太陽のキツイ日差しを抑えたりもする。冬はやらかい日差しを部屋の奥まで届けてくれるのは、住みだしてから体感すると家への愛着がさらに深まると思うし家で過ごす時間が好きになればいいなと思う。























            部屋の尾まで差し込む冬の日差し